東海市文化探検隊日誌

東海市の文化的な発展を願う土着民です。どちゃどちゃに東海市のことは好きです。いろんなところに出かけるのが好きです。文章を書きます。写真も撮ります。 東海市文化探検隊のInstagram⇨tokai_bunka_tankentai             連絡先⇨ogoumatsu★gmail.com

同人誌「天皇を旅する本」が面白い!【こんなところに東海市!?】

ここのところ、仕事が忙しく、久しぶりの更新となりました。
今回はある本、正確には同人誌*の紹介をしたいと思います。

*個人が執筆して自ら執筆・編集・発行を行う書籍のこと。普通の本屋では買えない。

 

私はある、「ZINEや同人誌を持ち寄って、読んだりおしゃべりしたりする集まり」に定期的に参加しています。

そこである参加者が持ち込んだ同人誌がこちら。

天スポ探訪「天皇を旅する本」令和元年夏弐号

 

写真も多く、非常に充実の内容で、天皇に関するスポットの紹介、そして天皇や皇族にまつわる寄稿が掲載されています。

なんの気もなしに読み進めていたところ、いきなり聚楽園の大仏が登場。

聚楽園の大仏は天皇の即位にかこつけて、"即位を祝う"という名目で建設されています。その辺りのことを掘り下げているコラムです。このような視点から聚楽園の大仏を掘り下げているのは初めて見たかもしれません。

天皇の権力やブランドを利用する、その手法は興味深いものです。現代においても宮内庁御用達のなんちゃら、と銘打って販売されている商品ってありますよね。

面白いことに、同本の戦う少女天皇というコラムには、漫画家久世番子の「パレス・メイヂ」が取り上げられています。

こちらは一部の反天皇系漫画マニアがその是非を問うているのをみたことがありますが、女性向け漫画雑誌での連載ということもあってか、知名度は低いため、特に反天皇的な文脈から批判されている様子を見たことはありません。

漫画の内容は、日明治時代をモデルに、架空の時代・国の宮殿の日常と恋を描いた物語です。画像にある6巻の表紙に登場しているのは明慈帝の第一皇女・彰子女帝。
このマンガがすごい!2014年オンナ編」6位にランクインしています。

直接的に「天皇」という言葉が使われることはありませんが、明治時代をモデルとしているわけで、この人物は「天皇」とみなすことができるでしょう。弱冠16歳の少女天皇です。すらっとしたスタイルは大人びており、もう少し年上にも見えます。重責の中、16歳の少女がまっすぐにその職務をこなしていきます。

 

実は、この漫画を描いた久世番子は、東海市出身の漫画家です。
「パレス・メイヂ」は天皇を扱うといっても、尊皇的な思想の漫画ではなく、かといって反天皇的な内容でもなく、天皇にまつわる宮中の文化面を中心に取り上げています。エンペラーの持つ富と権力によって生まれた、きらびやかな文化、それは文化に乏しい東海市民的に憧れるところがあるかもしれないです。

無名の土地に造られる大仏のために持ち出された「天皇即位」という名目、そして、文化に乏しい土地で育った漫画家が天皇の華やかな暮らしぶりを描くということ、それはこの土地の性質から生まれたものであり、二者はこの土地を根本にして繋がっているようにも思えます。

 

 

 

天皇をテーマとした一冊の本に東海市にゆかりのあるもの・作家の作品が二つも登場するという稀有な例に興奮する私でした。ぜひ読んでみてください。

 

 

 

現在第3号まで出版されており、ネット通販(とらのあな)でも購入可能。

https://ecs.toranoana.jp/tora/ec/cot/circle/2UPAe06Q847NdB6Rd687/all/

ただ、残念ながら、現在は第3号しか在庫がなく、第1号、そして今回紹介した第2号はSOLDOUTとなっています。

 

 

ちなみに、こちらを持ち込んでくださった方は「模索舎*」で購入した、とのことなので、模索舎店頭には現在も販売されているかも。

*東京の新宿にある書店

 

東京で行われる、文学フリマコミケなどに出店経験があるそうなので、これらのイベントでも購入ができるかもしれません。

 

公式ツイッターアカウントは以下。

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